Newton 別冊 性を決めるXとY


Newton別冊 性を決めるXとYを読んだ。
男女の違いは染色体がXXかXYかの違いだけど、純粋な外見上の違い以上にいかに多くの事象に作用しているのかをわかりやすく沢山の事例と共に紹介してくれる本でした。
男の子のほうが女の子より病気にかかりやすい理由ほか、結構衝撃的な事実がゲノム科学の見地からカラー図解でわかりやすく語られていて大変興味深いものでした。これを読んだ後は、第一子が女の子でよかったと、こっそり思いました。


以下、メモ

  • 染色体のは細胞が分裂するときにだけ現れる。普段は核に染色質として存在
  • 染色体、染色質の「染色」とは、布(生物の死んだ細胞の集まり)に染物をしたときに、染まる箇所がそこだったことからつけられた名称
  • 人間の細胞には22対44本の「常染色体」と1対2本の「性染色体」がある。合計46本。
  • 対になっている染色体は、互いに同じ遺伝子情報が格納されており、一方が壊れてももう一方の情報で補うことができる
  • ある部分の遺伝子情報が壊れると、ある病気にかかる遺伝子を「疾病原因遺伝子」と呼ぶ
  • X染色体中にも「疾病原因遺伝子」があり、代表的なものでは、筋ジストロフィー血友病・知能障害・自閉症がある
  • 女性はX染色体が二本あるため、片方が壊れても、もう片方が正常であれば発病しないが、男性はX染色体がひとつしかないため「疾病原因遺伝子」があると確実に発病してしまう。実際ビクトリア女王血友病遺伝子保持者であるがゆえに、子孫の男性のうち実に10人が血友病にかかってしまった。
  • また、神経細胞ニューロンの生成を司るための遺伝子や、免疫のための遺伝子も多く含まれており、X染色体が二本ある女性のほうが、男性にくらべ、知的障害や病気にかかる確率が低い。「昔から女の子のほうが育てるのが楽」という根拠のひとつ。
  • 精子には22対のそれぞれ片方の染色体とXかY染色体が入る。Xが入った精子とYが入った精子は同数存在
  • 卵子には22対のそれぞれ片方の染色体と自身の持つ二本のXがつぎはぎで交差されたものが4パターンでき、どれかひとつが卵になる
  • つまり、X染色体は、交差によりバリエーションが生まれるが、Y染色体はそのまま次の世代に引き継がれる。何世代、何万年経とうとも、男系の家系が続くかぎり突然変異を除いてY染色体塩基配列は変わらない。そのため、親子鑑定や人類の足跡調査にも利用される
  • X染色体には遺伝子が1098個あるが、Y染色体には78個しかない。
  • Y染色体はもともとはX染色体と同数の遺伝子があったが、交差が起きない性質上、突然変異で経年劣化し、減少傾向にあり、現在78個存在している。計算によると1000万年後には人間のY染色体は消滅する。
  • 性を決定するための遺伝子(精巣決定遺伝子)はY染色体にあるが、それ以外の複雑な相互作用により性が決定されるため、Y染色体がなくなっても性別は残るであろうと予想されている
  • 人間は受精してから7週くらいは男女の違いはない。つまり、どちらにもなれるようになっている。
  • 受精後8週目くらいにY染色体の精巣決定遺伝子の作用により精巣が作られることにより男性になる。その作用が無かった場合受精12週後に卵巣ができ、女性になる。つまり、男性に生まれるのではなく、男性になる。のである。男性にならない場合には女性になる。が正解。
  • 最終出産年齢が高い女性は老化がゆっくりすすみ、長生きする
  • 女性は右脳と左脳を結ぶ脳梁が大きく、男性は大脳自身の大きさが女性にくらべ1割大きい